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本気になんかならない

第26章 趣味:和歌

『心をば つらきものとて 別れにし
世々のおもかげ 何したふらむ

(つらくて別れたというのに、未だにあなたの面影を慕ってしまうのはどうしてなんだろう)』

「定家といえば恋歌かと思って」

「そうよね!
そして、定家からの"面影"といえば、"かきやりし黒髪"(寝所で彼女の髪をかきわけた記憶)!
"世々"とくれば、"夜々"!

あなたと過ごした夜を恋しく思って
しかたないなぁ…って、
そんなご経験があるってことね?」

そんなことを聞かれて当惑の俺。

"世々のおもかげ"って、そういう意味っ?
情事の余韻、みたいっな?
って思いながら、身に覚えのある俺は弁明をする。

「定家の歌、難しいのが多くてさ
これはまだ、なんとかって思ったんだ。
夜とかそこまで深くは考えなかった」

単に、あなたが居なくて寂しいなぁって歌だとばかり。

「そう?
直衣姿(男性用普段着)の宮石君がメランコリックにつぶやくと、すごくサマになると思うのよね。
哀愁、ただよってるのが目に浮かぶわ…」

「浮かべるなら定家で想像してよ」

「うん、定家姿の宮石君で想像してるわ。
就寝時の設定なら、ここは小袖(下着)姿にしちゃおうかしら」

おかしいだろ、それ。

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