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本気になんかならない

第28章 green flowers

「だけど、そう思ってたかぁ」

水をひとくち含んだ男は、クスクスと笑う。

「別れたんですか?」

「別れる前に、つきあってないから」

それは、俺と北里の関係と同じ?

「セフレってことですか?」

「え?紀ちゃんが?俺の?
そのジョーク、おもしろいよ?」

「まじめに聞いてるんです」

「あり得ないね。
言いきってあげるけど、俺と彼女は音楽上の仲間。

そうそう。
ときどき、紀ちゃんのマンション下で会ったよな?
あれ、普通に送ってただけだから。
俺の家も同棟なだけ。

だって、言っただろ?
俺には恋人が居るって
見た目どおり一途な紳士なんだよ?俺。

それに、こんなイケメン若君から寝とる?
逆だろ?逆ーっ」

逆?
俺がこの男の彼女を奪うってこと?

カラカラと笑いだしたピアノ男は、俺の背中をバシバシと叩いた。

タワシの傷が痛いってのに。

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