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本気になんかならない

第29章 オーバーラップ

門を出て口元をゆるませた白峯は話す。

「あの先生、俺が不良だったって信じたかな?」

「やっぱりウソだったの?」

「単車転がして、葉っぱ育てて、ゴロついてた。
ま、今とあんまり変わらないな」

そう言ってクスクス笑う。

「物は言いようだね。ホント、すごい。
俺、脱帽だよ」

「俺の言いたいことをお前が先に言ってくれたからな。
あとはフォローだけでよくなったんだ。
ありがとうな」

白峯は俺の肩を叩くけど、、違う。
礼を言うのは俺のほうだ。

俺じゃ、言いあって終わりだった。
学校側に理解のない保護者と煙たがられるだけで、妹の立場をさらに悪くした。

先生だって妹のためをと思っての対応だったのに、俺は悪意と決めつけて。

力ずくじゃなくて、
相手の立場を考えながら話すって難しいな。

あの先生は優しい。
今回は、報いを期待しての優しさが枯渇しかけただけなんだ。

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