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本気になんかならない

第29章 オーバーラップ

「向こうは大人数でやってきたんですよ?
そりゃ反撃もするでしょう?
受け身ばっかりで体力を消耗させたら、間違いなくやられるじゃないですか!

逃げても執拗に追っかけてきたそうじゃないですか!
その場にいた先生方は、
帆澄を守ろうとしてくれたんですか?」

「だけど、宮石君は強いから。
今回も、新入りだというのに柔道部を差しおいて大会で優勝するくらい」

「強いから何です?
帆澄だって生身の人間です。

強くても蹴られると痛いんですよ?
刺されたら血が出るんですよ?」

「見ていた先生の話では、宮石君が優勢だと。
実際、複数が骨折しています」

「1対22で優勢?
相手は幼児じゃないでしょう?
格闘経験のある男子高校生でしょう?

力の加減もできないほど、帆澄は追いつめられていたんですよ?
凶器を持った生徒もいたんですよね?」

入室してしばらくは、穏便に済まそうと思っていた俺なんだけど

「事後処理が大変だ」
とため息まじりに愚痴られて

俺は白峯みたいに大人な振るまいはできない。
って開きなおって、

お茶を入れてくれた北里に
お礼もせずに、まくし立てた。

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