テキストサイズ

本気になんかならない

第30章 初デート

と、そのドアから出てきた女性スタッフが
俺に声をかける。

「CDって持っていますか?
カバンにケースしか入ってないようなんです」

「あ、クルマから取ってきます!」

3階から1階駐車場へ階段を駆けおりて
CDを取りだして

ふたたび3階のその部屋をノックして、
顔を出したさっきの女性に渡そうとした。

と、腕をつかまれる。


「ご主人さん!急いでっ
陣痛の間隔が狭くなってきてます。
傍で優しく声をかけてあげてください」

「え?俺…?」

「早く入って!
ついててあげてください!」

陣痛って、めちゃめちゃ痛いやつだよな?

男ならアノヨに逝っちゃう級の激しい鈍痛、
お腹の底から重くつらいって。。


だったら本当のご主人が来るまで
俺がいたほうがいいのか?
俺でいいのかっ??

痛みをこらえている北里の背中を撫でるとか、
励ますとかならできるかと思って

言われるまま、緑の薄い服を羽織って
その部屋に入ったんだけど。。

病院特有の普通の狭いベッドだけがあると思っていた俺は、一歩進んで、あとずさる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ