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本気になんかならない

第30章 初デート

何度か励ましたり、拭いたりを繰りかえして
それが永遠に続くかのように思えた。

痛みを一身に受けている北里には、なおのことだろう。

たまには和らぐようで、
スイノミで水を飲んだりはしたのだけど

つぎの瞬間には、どんなふうにしても襲ってくるようで。


俺はどこも痛くない、だからこそ
苦しんでる彼女を前に
1割も身代わりになれない自分がもどかしかった。

そのうちに、

「切るからね」

と医者が言って。

え?切る?どこを?

って俺は戸惑ったけど、
お腹ではなかったようで

わからないうちに、医者の手は赤ちゃんを抱えていた。


「よし、産まれた。ほら、お外だよー」

赤ちゃんの鼻にストローみたいなのをチュっと入れて、すぐ離して

すると、赤ちゃんが思いついたように泣きだした。

「おお、元気、元気」

「おめでとうございます、女のコですよ」

頭部を支えられながら
北里の胸元に渡されたそのコは、
彼女の人差し指を小さな小さな手全体でぐっと握った。

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