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本気になんかならない

第32章 クリスマス会

クリスマス会参加者一同が帰ってしまい、静かになった園庭で、トナカイ先生が話しだす。

「宮石君に質問があるんだけど。
サナちゃんのお母さんのこと、北里さんって呼んでるの?」

「あ…。いや。
今までは"さん"づけじゃなかったんです。
だけど、もう社会人なので。。
でも、慣れるまでは慣れませんねぇ」

と言ってみて、自分で思った。
慣れるまでは慣れないって、そりゃそうだ。

だけど、トナカイ先生が引っかかったのは、そこではなかった。

「へぇ、宮石君って、学校の先生を呼びすてにする子だったんだ。
そういう校風だったの?
私も陰では先生のことを呼びすてとかあだ名で言ってたけど、表立ってはなかったなぁ」

あ、そうか。
俺は北里の生徒ってことになってたな、と思いだす。

「えーと。
僕のじゃなくて、弟の先生だったんです」

「だったらなおさら、おかしいわねぇ」

おっしゃるとおりです…。

何か隠してるでしょ?
と言いたげに、じーっと見つめられた俺は、

「いや、もう。
苗字がニックネームのようなものだったものですから…」

と、ごまかしながら部屋へ戻った。

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