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本気になんかならない

第32章 クリスマス会

といっても、動かないでいると襟元から足元から尖った冷気がさしこんできて、どうにも耐えがたい。
自転車を脇に置いて、身体を軽く動かしてしていると、

カチンカチンと拍子木を叩く音とともに
人々の声が聞こえだした。

夜の見まわりだな。
お疲れ様ー。


なんてのんきにねぎらっている場合じゃないっ。
こんなところでボサッと体操していたら、俺が不審者扱いされてしまう。

いやもう俺、見事立派に怪しいよな。
約束もしていない、それも、久しぶりに会った女性の自宅前で待ちぶせているんだから。。

とりあえず、通行人らしく歩いてやり過ごそう…
俺は、かじかむ手をポケットに、少し先に見える自販機のあかりを目指した。

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