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本気になんかならない

第32章 クリスマス会

先生は唐突に尋ねる。

「北里さんを待ってるの?」

「えっ、、いや。えっと……そうです」

"まさか、朝の掃除ですよ"…と言おうとも思ったけど、俺は認めた。

「もうすぐ会えると思うわよ」

そう言って笑む。
でも俺は会おうとしてるわけじゃなくて、様子をチラッとうかがいたいだけで。

俺からの手紙を読んだのか読んでいないのか、
呆れているのか、迷っているのかを、その表情から読みとれないかを。

目があったら、きっと北里はやわらかく笑ってくれる。
そう思っても、女のコに関する俺の予想ははずれることも多くって。

冷たい視線が返ってくるのが怖いから、今日は離れたところから、とか思っていて。

家族以外に手紙なんてはじめてで、彼女が現れないうちから、もうドキドキしているから。
今、面と向かって彼女に会っちゃったりなんかしたら、何かカッコつかないことになりそうで。

だって俺は、やっぱりどうしても北里を好きで
彼女に聞きたいこと、伝えたいことがたくさんありすぎて
何からどうすればいいのか、まったく思いうかばない。

もうすぐ彼女がここを通る。
それだけで、アタマがいっぱいになってきた…。

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