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本気になんかならない

第32章 クリスマス会

しばらくして親子連れが現れだす。
歩行者信号が青になると、先生は”横断中”と記されたその旗をピシッと遮断機のように掲げた。

そうして何組かの親子が挨拶をしながら通りすぎる。
北里も、そのうち……。

ドキドキのおさまらない俺の耳に入ってくる。

「…宮…君、…石君!」

…誰かが喋ってるな。

「宮石君!」

あ、俺が呼ばれてるのか。と我に返る。
トナカイ先生が俺を心配そうに見あげていた。
目があうと、ニコリと笑ってくれる。

「そのホウキは私が片づけておくから、旗の役、お願いできる?
そのほうが、自然に声をかけられると思うわよ?」

「え?そうですか?
いや、声をかける気はそんななくて」

ホウキと旗を取りかえると、ちょうど歩行者親子が現れたので、俺は掲げる。
親子が無事に渡りきり、振りかえると、早くも道の向こうに見えてきた。
それは、バス停から歩いてくる2つの影。

スキップのように跳ねながらやって来るサナちゃんと、北里の影。

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