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本気になんかならない

第36章 夜は恋蛍

バーには彼はまだ来てなくって、席に着こうとした私は、名前を呼ばれる。

カウンターにいたのは、休学前の大学で知りあった女性。

好奇心旺盛でお喋り好き…。
彼女に知られるということは、全国民に知られると同じこと。

まあ、いい人なんだけど。。

私がとなりに座ると早速、詮索が始まった。

「何?男と待ちあわせ?」

「そう。早く来すぎちゃった」

「ふうん。あの例の年下君?」

「そうよ。かっわいいんだから」

あっ、いけない。
つい、自慢しちゃった。。

でも事実よね。
和君ほど可愛い男ってそういないと思うの。
可愛いなんて言ったら、ふて腐れるだろうから、直接は言わないけど。

いつもは抜群にカッコいいんだけど、ときおり見せる素直な笑顔が、とっても可愛いのよね。

にへらとする私を見澄ましながら、彼女は続ける。

「いいなぁ。私も年下ペット、手なずけたい」

って、和君はペットじゃないわよ。
だけど、ここで抵抗すると、私の心の奥を悟られそう。

そんな危険を察知した私は、「うらやましいでしょ」と、はぐらかした。

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