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本気になんかならない

第36章 夜は恋蛍

「本音は年上がいいんでしょ?」

年上年下とかじゃなく、問題は年齢差なのよね…。
でも、ここはスルーが賢明と、適当に相づちの私。

すると彼女は、「わかるわぁ」と、情け深い友人のようにうなずきながら、カクテルをひとくち含んで話す。

「年下相手にマジに恋愛する気にはなれないよねぇ」

……私だって、私だってね。

恋愛しようと思って、恋に落ちたわけじゃない。

とめようとしても想いはとまらなくて、彼以外は目に入らなくて。
好きになっちゃったんだもの、しかたないでしょう?

なんて、暴露できるわけない。

「そうね。本気になったら犯罪?」

自嘲気味な私は、自分を守るために空っぽの笑顔を作った。

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