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本気になんかならない

第36章 夜は恋蛍

「とかいっちゃって。その大きなカバンは、お泊まりセットでしょ?」

彼女は、私の背後のトートバックを指さす。

「そんなの、ないない。彼に貰ったから、使ってるだけよ」

「そっか。自分があげたもの以外は、彼女に身につけてほしくないタイプ?
かといって、高校生のお小遣いじゃそんなに買えないし。たいへんね、あわせるのも。

M子の元彼がそんなヤツでね、自分で買ったんだって言っても、レシートを見せるまで納得してくれなかったらしいのよ…」

彼はそんな了見の狭い人間じゃないわよ。

荷物の多い私としては、A4少し大きめ楽譜もラクラク入れられる、とても使い勝手のいいバックなんだから。

まあ、ね。
そんな独占欲の片鱗みたいなものを彼も見せてくれると、嬉しいんだけど。

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