テキストサイズ

本気になんかならない

第36章 夜は恋蛍

いろいろと質問を投げかけられても、「秘密」と、かわし始めた私に、アルコールがまわってきた彼女は、明けすけに誘導しようとする。

「若いとあっちも激しいんでしょうねぇ」

"そうよ"なんて、答えるとでも?

「そんな深い関係じゃないのよ。趣味友だちっていうのがしっくりくるかな。
ややこしい恋愛なんて、したくないもの」

「それもそうねぇ」
と、信じた彼女は肩をいっきに落として言う。

「未知数の、どう転ぶかわからない子どもより、だんぜん大人の男のほうがやっぱりいいものね。
私たち、もう遊びにつきあってられる年じゃないし」

どう転んでも、和君の将来は明るく輝くと信じてる。
だけど、自分の年齢のことを言われると。。

いくつであったって、関係ないじゃない。
と、堂々と言い張れる私じゃない。

去年あたりから、同年代の友人がつぎつぎと結婚して届く、"家族が増えました"通知。
手にするたびに、そのハガキの向こうにある幸せに、私もいつか経験できるのだろうか…。
そんな考えがよぎって、チクチクと胸が痛んでしまう。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ