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本気になんかならない

第39章 幸せ所有格

だけど、思うの。
彼とだったら、もっとおいしい。
彼の食べる様子を眺めたり、こそばゆく微笑みあったりするだけで心がとろけて、もっともっとおいしい。

だから本当に、もったいないなんて思わない。

「もうしわけありません。
よいお話だと思うのですけど、おうけできません」

きっと、キッチンでは義姉たちが聞き耳をたててる。
不気味に静かなその室内で、小川さんのため息がやけに響いた。

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