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本気になんかならない

第39章 幸せ所有格

「あのサンタクロースの彼、ですか?」

「ど、どうして?それを…」

まるで私の心のうちまで見透かされているかのようで、ドキッとした。

「クリスマス会のときに、ふたりで見つめあってたでしょう。いや、大丈夫ですよ?
そんな一瞬の出来事に気づいたのは、私くらいです。
それに、帰りのときにも…彼と喋ったあなたは、よそよそしくしていたくせに、とても嬉しそうにしていた。

だから、どうしてもあの晩、あなたをひき止めたかった。
ふたりの仲が進展しないうちに」

気づかれてたんだ。
だから、いきなり結婚届なんて出してきたのね。

勘のいい人…。

もう私の気持ちなんて、お見とおしなんだろうなぁ。

それでも来てくれた小川さんを傷つけることなくあきらめてもらうには、どんな言葉がいいのかしら?

これぞ正解ってセリフが浮かばない私は、とりあえずの結びで
「ご縁がなくて残念…」と、言おうとした。だけど

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