テキストサイズ

本気になんかならない

第39章 幸せ所有格

義姉は場を和ませようと、ポテチの袋を出してきて明るく尋ねる。

「そんないい人と、どこで知りあったの?」

だから、私も気を取りなおして答える。

「えっとね、ジャズバーで。
彼はね、バイオリンとピアノが弾けるの」

「へぇー、すごいねっ。ぜひ、聴きたいわぁ。
今度、紀ちゃんとペアで演奏してほしいな」

「そうね。練習しておかなくっちゃ」

私と義姉が盛りあがりを見せるなか、いつもなら乗ってくるはずのとなりをうかがう。
何をしてるかと思ったら妹は、私のリュックを見つめていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ