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本気になんかならない

第43章 扉

間もなく店に着いて、クルマから降りた。
千尋さんがドアから現れて、俺たちを出迎えてくれる。

微妙な雰囲気のまま、ふたりで店内へ。
窓際のテーブルで、おまかせランチを注文すると、うやうやしく俺に向いた彼女は言った。

「私ね、和君が恵と仲がいいって聞いてそれで、私の存在がバレないうちに別れようとしたの……ごめんなさい」

「ええ?
それって俺がフタマタかけてたってこと?
俺がそんなことすると思うの?」

「ううん、そこまで考えなかった。
込みいったことは、何ももう知る必要もないと思ってたの」

サービスされた水をこくっと飲んだ彼女は、ポツポツと喋りはじめた。

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