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本気になんかならない

第43章 扉

「あの頃は、紗波もまだ小さくて、仕事も本格的に始まって、本当に忙しかったから。中傷の手紙もきて…。
アタマのなかが整理つかないまま、とにかく別れるしか思いつかなかった。

恵となら年齢も近いし、お互い初婚だし。
和君が恵とうまくいっても、私が黙っていれば問題ないし。

逆に和君がね、私と続ければ、そのうち姉妹っていう事実がわかるでしょ?
そうしたら、和君もメグも私も気まずくなる気がして。

だから、私から関係を切るのがみんな幸せになれる方法だと思ったの」

みんな幸せにって、北里はどうなんだよ?
自分を犠牲にして、それで満足だって言うのか?

そんな悲しい思いをずっと抱えていたのか?

「そんなことしても、メグも俺も喜ばないよ?」

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