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本気になんかならない

第43章 扉

降りてきたのは貴志。

今の会話、聞かれてた?
いや、聞こえてたなら、割りいってなんてこないだろう。

だけど、俺を一瞥しただけで、彼は不躾に言いはなった。

「ミイラなのは、彼女さんのほうですね」



北里と俺はふたりして、彼に注目した。

「自分を隠して、ぐるぐる巻きになってる。
信頼できる人には見せてもいんじゃないですか?」

なぜいきなり、そんな物言い?
それに北里とそれほど、親しいわけでもなかったろ?
俺の記憶では、彼女と貴志が同席したことはない。

2階で休んでいたところ、俺たちに起こされて気がたってるのか?
なだめるように俺は口をはさんだ。

「貴志、夢の話だったらあとで聞くよ?」

そんな俺を親指で指しながら、彼は続ける。

「こいつのこと、そんなに信用できない?
あんたの目を盗んで妹に手をだすと思うのか?
そんな嫌疑かけるんならさ、こいつのことこっぴどくふってやれ。俺に譲ってくれ」

何を言ってるんだ、貴志は…

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