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本気になんかならない

第43章 扉

俺は貴志の意図に首をかしげながら、彼女の言葉を聞く。

「私は和君に幸せになってほしいのよ」

涙は止んで、気丈な彼女に戻っていた。

「だったら話は簡単ですね。宮石と…」

澄ました貴志は、また口を開こうとするけど、顔を覗かせた千尋さんに襟首をつかまれる。

「また貴志は、お客様に絡むなって」

「俺もお客様ですっ…」

「居候だろ?弁当あるから、上で食べろ。

和君たちも、冷めないうちに食事だな。
でないと、この店のシェフがキれるから」

千尋さんに促され、ランチの用意されたテーブルにふたり戻った。

なるほど、貴志は俺たちがうまくいくように出てきてくれたわけか。

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