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好きだって気づいたとき

第10章 中学最後の夏休み

「どこまで覚えてる?」

「どこまでって、えっと・・・
吉田を連れて職員室に行こうとしたら、アイツらが俺の肩を掴んで、それで吉田はアイツらに捕まって・・・
そこから覚えてない」

「そっか・・・
それから吉田は1人で職員室に向かおうとしてアイツらに捕まって、もみ合いになって階段から落ちてケガしたんだ」

「それでヒビが入っちゃったんだ」

「それでもアイツらが吉田を掴んで起こそうとしたんだ。
で、それでどうしてか、お前が急にブチ切れて、杉浦に殴りかかって行ったんだよ」


俺が?杉浦に殴りかかって行った?


「杉浦もお前に殴りかかったけど、やっ、お前空手やってるからか、全部かわしてその代わり、お前のが2、3発アイツにヒットしたよ」


少しずつだけど思い出してきた。


「俺が止めに入って、俺の顔を見た途端、お前す〜っと気を失ったんだ」


全部思い出した。
俺は吉田の腕から、出血しているのを見て頭に血が上っちゃったんだ。
それで杉浦に殴りかかって行ったんだ。


「知哉、大丈夫か?」


俺はなんて言う事をしてしまったんだ。


「・・・知哉」


どんな理由でも、殴りかかって行ったなんて、やってる事アイツらとかわんないじゃねぇか。


「大丈夫か、知哉」

「どうしよう・・・
あいつら悪いやつでも俺、ケガさせちゃたんだよな」


俺はなんて言う事をしてしまったんだろう。


「でも元はと言えば、あいつらが悪い事してんだよ」

「それに俺が出しゃばらなければ、吉田もケガしなくて済んだのに・・・」


俺は頭を抱えてうつむいた。
遼太はうつむく俺の肩に手をのばし、引き寄せた。







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