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take a breather

第21章 Be with you

あれから10年…

「智?どうかした?ひとりで笑って気持ち悪いよ?」

洗面台の前で翔さんの髪を乾かしていると、翔さんと鏡越しで目が合った

「ひどっ!翔さんに初めてキスされた時のこと思い出してたのに」

そう言うと顔をほんのり紅く染める翔さん
相変わらず可愛らしい

「そっ、そんなことっ、思い出すなよ…」

「だって、久しぶりに翔さんの髪乾かしてたら、自然と思い出しちゃったんだもん…
あの時の翔さん大胆だったよね?
俺が『はい』って答えた直後に、いきなりキスしてくるなんてさ」

「だからっ!思い出させるなってばっ!
もおいいっ、後は自分でやるから、貸せっ」

顔を真っ赤に染めて、俺の手からドライヤーを奪いとる

「もう乾かし終わったよ?」

「………」

翔さんの手からドライヤーを取り戻し、片付ける

その間、翔さんは無言で俺の隣に立っていた

「行こっか」

「ん…」

翔さんを促し寝室へ…

ふたりでベッドの上に座り
翔さんを後ろから抱きしめ髪に顔を埋める

「ふふっ…相変わらずいい匂い…」

10年前と変わらず、同じシャンプーを使い続けている翔さんは
10年経った今も、俺のパートナーでいてくれている

バドミントンのではないけどね
バドミントンはお互い高校までで引退した

翔さんとペアを組んだ1年間
翔さんの最後の試合は全国大会ベスト4で幕を閉じた

翔さんは、納得のいく試合内容で負け
思い残すことはないと、バドミントンからキッパリ足を洗った

ニノと相葉さんも同様で
全国大会に出場出来ただけで相葉さんは満足し、翔さんと共に部活を引退していった

その後、俺とニノはもう一度ペアを組んだ訳なんだけど
翌年の全国大会はベスト8止まりで
俺たちもバドミントンから引退することを決めた

ニノは続けるのかと思っていたから意外だったけど
ニノ曰く『俺はスタミナもパワーも人並み以下だから、これ以上続けても上には行けないよ
今まで勝ててたのはパートナーに恵まれてたから…自分の力じゃない』って事らしい…

人を発掘する能力は間違いなく人並み以上だけどな

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