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take a breather

第21章 Be with you

「大野は、どんなつもりで俺を見てるの?」

「どんなつもりって…部活の先輩で…」

「で?…それだけ?」

櫻井さんは、俺に何を答えさせたいんだろう…

綺麗な瞳で真っ直ぐに見つめられると、それだけで詰問されてるみたいだ

「大切なパートナーで…」

「大切なのは、ペアを組んでるから?」

「あ…いや…」

「俺はね?凄いドキドキしたんだよ?
昨日、大野が倒れた時…
大野に何かあったらどうしよう、って」

「すみません…」

昨日の事を思い出したのか
櫻井さんの瞳は不安そうに揺れている

櫻井さんにとっても、俺は大切なパートナーってこと?

「シャンプーの香りが好きって言われた時も
俺の作ったハンバーグが好きって言われた時も
カレー食べてる姿が可愛いって言われた時も
ペアを組みたいって言われた時も
初めて大野のプレイを見た時も…
俺はずっと大野にドキドキさせられてる」

「櫻井さん?」

「俺のこと、こんなにドキドキさせてるのに
大野はどんなつもりでいるの?」

櫻井さんの手が俺の頬に触れた

少し震えている櫻井さんの手…緊張してる?

震えているのは俺のせい?

俺は嘘のない自分の想いを伝えてもいいのか?

「櫻井さん…」

櫻井さんは何も言わず
俺を見つめ、俺の言葉を待っている

「櫻井さんの期待している答えじゃないかも知れないですけど…
俺にとって櫻井さんは大切な人です
バドのパートナーだけど
それだけじゃなくて…」

なんて言ったらいいんだ?
個人的な?プライベートでも?
どっちも同じ意味か…

「大野…」

櫻井さんに呼ばれ、伏せてしまっていた視線を櫻井さんに戻した

「大野が俺の期待に応えられなかった事は、1度もないよ?
俺がお願いする事に、いつも『はい』って答えてくれてた
だからまた『はい』って答えてくれないかな…」

俺に『NO』って言わせない瞳…

「俺の恋人として…パートナーになって欲しい…」

「……はい」

俺がそう答えた後の櫻井さんの笑顔と行動を
俺は一生忘れることはないだろう…

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