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take a breather

第22章 Song for me

智の事務所は小さな所で、所属タレントもまだ3人

社長の松岡さんが本物志向で、自分で発掘した者しか入所出来ないそうだ

出社初日、新卒採用は俺を含め3人
事務所の応接室で簡単な入社式が行われた

出席者は新入社員と社長と事務員数名のみ

式終了後、その場で社長自ら仕事の説明を受ける
本当に小さな事務所だ

ただ、この社長が只者ではない雰囲気…
自身がタレントでもおかしくないんじゃないか?

「よく来てくれた、お前ら」

応接セットに座る俺たちに笑顔で挨拶する社長

「いや〜こんな弱小事務所選ぶなんて物好きな奴らだなぁ
でも、ここはこれから伸びるぞ〜?
なんてったって所属してるアーティストが一級品な奴ばかりだ
この俺が原石見つけて来たんだからな
すぐに大物アーティストに育つよ」

自信満々なその物言いが、不快ではなく寧ろ小気味いい

この人の言う事なら、真実なんだろうと思わせる力がある

「とりあえずは下働きからだな
主に事務仕事をしてもらう事になるだろうけど
現場を知る為に、マネジャーのアシスタントとして出向いて貰う事もある
どの仕事に適応してるか見定めてから、正式に配置するから」

説明が終わり、社長の後について応接室を出た途端
見たことのある人が見たことのある表情で社長の元に近寄った

「社長、智になんとか言ってくださいよぉ」

社長にそう言ったのは、あのフェスの時に智を探しに来た人だった

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