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take a breather

第23章 証

〈智サイド〉

「ん…くすぐった…」

俺の頬を、生温くザラザラとした小さな物体が行き来する

今日は土曜日だから、もう少し寝ていたいけど
起きるまで止めてくれねぇだろうなぁ…

仕方なく目を開くと、俺を見下ろすブルーと目が合った

「はよ…ブルー…メシの時間だよな?」

「ミィ」

ブルーが『そう!』とでも言ってるかの様に、嬉しそうに鳴く

「リビング行くぞ」

隣に眠る翔を起こさないように、静かに体を起こした

「ミャ」

ブルーがベッドから飛び降り
その後に続いてベッドから降りる

ブルーがここに来てから1年が経とうとしている

早いもんだな…人間で言うと成人の一歩手前という所まで成長した

親バカかも知れないが、ブルーは本当に頭の良い猫で
俺たちが休みの日の朝は、俺にしか餌を催促しに来ない

翔が起きられない事を、この一年で学んだから…

どうしても金曜日の夜は羽目を外しがちで、眠りに就くのが遅くなる

その理由もおそらくブルーはわかっていて
翔の事は寝かせておこうと気を違い、俺の所にやって来るんだ

『お前の責任なんだから、お前がメシの用意しろよ』なんて、思っているのかも知れない

「ブルー、ほらメシ出来たぞ」

キャットフードを入れた餌入れをブルーの前に置くと『ミャ〜』と鳴いてから餌を口にする

「いただきますの挨拶も出来て、お前は本当に賢い子だよ」

ブルーの前にしゃがみ込み、ブルーが餌を食べ終わるのを待つ

ひとりにしてもいいんだけど、何となくひとりで食事を取らせるのが可哀想と思ってしまうのは
ブルーが立派な我が家の家族の一員だからだろう

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