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take a breather

第23章 証

〈翔サイド〉

智さんの身内に会う

お姉さんには何て挨拶したら…

緊張しながらリビングで待っていると、入って来たのは小さな女の子だけだった

「翔…この子がさっき話した姪っ子の絵莉だよ」

「可愛らしい子ですね」

そう言うと、絵莉ちゃんは俺の顔をニコリともせずにじっと見る

「あなた誰?」

この位の歳の子って接する機会ないけど、知らない人相手に警戒しているのかな?

「はじめまして、櫻井です
智さんの職場の後輩で…」

智さんの仕事仲間だと言えば警戒が薄れると思ってそう自己紹介したのに…

「ふ〜ん…職場の後輩なんだ
なんでこんな朝早くからココにいるの?」

そうだよな…こんな時間に部屋着のままでいたら『なんで?』と思われても仕方ない…

「あ…えっと…」

同居している事を言っても良いものだろうかと迷っていたら、智さんが代わりに答えてくれた

「一緒に暮らしてるんだよ」

「あーっ!今流行りのシェアハウスってやつね?」

絵莉ちゃんがやっと笑顔になった
警戒心解いてくれたかな?

それにしても、この歳でシェアハウスって言葉を知ってるんだ…
今時の子は物知りだな

「智、猫飼ってたんだね。知らなかった」

絵莉ちゃんが俺に抱かれているブルーを見ている

「ん。去年の夏から一緒に暮らしてる」

「なんか猫を飼うのって、智のイメージじゃないかも…」

「そうか?まぁ、実際、俺ひとりだったら引き取らなかったかもな」

「えっ?智が決めたんじゃないの?」

「決めたのは俺だよ?
でも、翔がブルーを助けたそうだったから、家で引き取った」

「翔って、この人の事?」

絵莉ちゃんが俺を見上げた

「うん。櫻井翔です、よろしくね?絵莉ちゃん」

改めて挨拶すると、興味もなさそうに智さんに向き直る

「後輩なのに、なんで智が迷惑掛けられてるの?
このウチは元々智のウチでしょ?
この人だけじゃなく、なんで猫まで一緒に住まなきゃならないの?」

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