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take a breather

第23章 証

ねぇちゃんが立ち去ると、絵莉は玄関の中に入り俺の前に立つ

「おはよう、智」

「おはよ」

絵莉が部屋に上がれる様に、その場から少し身を引いた

絵莉はさっきのねぇちゃん同様に、首を横に振り溜め息を吐く

「智…おはようのキスは?」

「へっ⁈」

絵莉の口から出た言葉に驚いた

「絵莉…お前、何言って…」

「もう、わたし小学生よ?
キスくらいしてくれても良いんじゃない?」

イヤ!ダメだろ!
小学生ってそんな大人じゃないぞ?

「キスはしません!まだ早い!」

「え〜、智って奥手なのね
今日の所は、まぁいっか…」

早いってのは俺の事じゃなくて、お前の事だよ…

諦めたのか、絵莉は渋々靴を脱いで部屋に上がった

リビングに連れて行くと、翔がブルーを抱いたまま立っていた

「翔…この子がさっき話した姪っ子の絵莉だよ」

「可愛い子ですね」

翔が笑顔でそう言った瞬間…

「あなた誰?」

絵莉の不審な目が翔に向けられた

「はじめまして、櫻井です
智さんの職場の後輩で…」

「ふ〜ん…職場の後輩なんだ
なんでこんな朝早くからココにいるの?」

「あ…えっと…」

答えに詰まる翔

「一緒に暮らしてるんだよ」

俺がそう答えると、絵莉の顔に笑顔が戻る

「あーっ!今流行りのシェアハウスってやつね?」

ちょっと…いや、だいぶ違うけど
そういう事にしておいた方が良さそうだな

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