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take a breather

第23章 証

智さんはケースからひとつ指輪を抜くと、俺の左手を取りゆっくりと薬指に嵌めていく

嵌っていく指輪をジッと見つめていると、目頭と胸が熱くなってきた

「俺にも嵌めてくれる?」

もうひとつの指輪を俺に差し出す

それを受け取り、智さんの指に嵌めようとするんだけど
視界は滲むし、手が震えるしでなかなか上手く嵌らない

なんとか嵌め終わると智さんが微笑みながら俺の涙を拭ってくれた

「翔…ありがと」

お礼言うのは俺の方…
なのに言葉が出ない

智さんに優しく抱き寄せられ、智さんの腕の中で呼吸を整えた

「…あ、りがとっ…ございますっ…」

「喜んで貰えてよかったよ
もしかしたら受け取って貰えないかもってドキドキした」

そんな事あり得ない…
世界中探したって、これに勝る贈り物なんてない

欲しくても、断られるのが怖くて口に出せなかった

でもその話は、後でゆっくり智さんにすることにしよう

今はこの至福の時を噛みしめたい…

「智さん…誓いのキスは?」

そう言うと、智さんは驚きの表情を浮かべた

言葉に出して俺からキスを求めるなんて初めての事…

ちょっと恥ずかしいけど
智さんから贈られた指輪が勇気をくれる

すると、智さんはそれに応えるように、嬉しそうに微笑んでくれた

「翔、愛してるよ…これからもずっと…」

「俺も、愛してます…」 

智さんからの優しいキスを受け止めながら
ふたりの愛の証であるペアリングの元で、永遠の愛を誓った。


《end》

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