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take a breather

第23章 証

「翔、ちょっといいか?」

智さんが俺を呼びソファーに座る

「なんですか?」

俺も智さんの隣に座った

「これ、貰ってくれる?」

智さんがテーブルの上に置いてあった小箱を手に取った

プレゼント?
でも『貰ってくれる?』なんて聞き方するから違うのかな…

ラッピングがされてないし、プレゼントならそんな言い方しないよね

疑問に思っていると、智さんが箱の蓋を開けた

「え?……ゆ、びわ…?」

箱の中にはシルバーのリングがふたつ並んでいる

「そう。ペアなんだ
結婚式はすぐには出来ないし、婚姻届は出せないけど
人生のパートナーとして、何か形にしたいなって思って…
ベタだけど、ペアの指輪」

「ペア…リング?」

絵莉ちゃんがおもちゃの指輪を買って貰った時、羨ましいと思ったけど

俺にもくれるの?

俺も恋人として、何かお揃いの物とか欲しいとは思ってた
でも、人生のパートナーとしてだなんて…

俺の願いを一度に叶えてくれる指輪…

現実…だよね?

強く願い過ぎて、夢をみてるんじゃないよね?

全てが幻で
瞬きをした瞬間に消えてしまうんじゃないかと
怖くて、指輪から目が離せない…

「翔……翔…」

「えっ?」

智さんに名前を呼ばれ、視線を智さんに向ける

「貰ってくれる?」

もう一度視線を下に向ける
それでも、智さんの手には指輪の入ったケースが…

「…はい…」

「よかった…」

ホッと息を吐く智さん

貰わない訳ないよ…

こんなに素敵な贈り物を、まさか智さんが用意してくれてたなんて…

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