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take a breather

第24章 むかえに行くよ

その日の夜、母ちゃんが晩飯の用意をしている時
仕事から帰ってきた父ちゃんに、翔くんの事を聞かれた

「どうだった?翔ちゃん。仲良くやれそうか?」

缶ビールを手に持ち、テレビを観ていた俺の傍に座る

「あー…うん。大丈夫かな…」

おそらくだけど、悪い奴じゃなさそうだし

「おー、そうか。良かった
小さい頃は仲良かったのに、大きくなって気が合わないとかだと、ちょっと寂しいからな…」

父ちゃんは、嬉しそうに笑いながらビールを飲んだ

「そう言えば俺、翔くんの事
なんとなくだけど覚えてたわ」

「だろ?あんなに仲良く遊んでたんだから
少しくらいは覚えてないと、翔ちゃん可哀想だよ」

可哀想なのか?
でもあっちも俺の事覚えてたし、俺だけ覚えてないとなると、寂しいか…

「俺さぁ…子供の頃、翔くんの事女の子だと思ってたから
だから昨日、父ちゃんと話した時には思い出せなかったんだよ
本人見たら、すぐに思い出した」

「えっ⁈智、お前翔ちゃんの事、女の子だと思ってたのか?
なんだ、だからか…」

父ちゃんがひとりで納得してるけど、なんだ?

「何が『だからか』なんだよ」

「なんだ、お前、そこは覚えてないのか?」

「だから、何を?」

「お前、翔ちゃんと結婚の約束したんだぞ?」

「……は?結婚?」

「あぁ。ふたり仲良く手を繋いで父ちゃんと櫻井…あ、新社長の方な?
の前で『ぼくたち結婚する』って報告に来た」

「マジで⁈で?それを見た親たちの反応は?」

「ん〜?『お似合いのカップルだな』って言って、みんなで拍手したぞ?」

大人たち…そこでちゃんと訂正しといてくれよ…

そんなんだから、俺の初恋の相手が男になっちまったんだろうが…

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