テキストサイズ

take a breather

第4章 途中下車

〜♪

枕元のスマホに手を伸ばす

いつもならスヌーズ機能をタッチするのに
今日の俺は一発で目が覚めた

「行きますか」

勢いよくベッドから起き上がり、仕事へ向かう為の準備を始める。


今日から始まる新規プロジェクト

今まで一緒に仕事をしたことのない先輩とペアを組むことになった

その先輩は物静かで、穏やかで…
俺と3つしか年が変わらないのにウチの会社のエース級のやり手。

昨日まで部署が違かったからあまり話したことはない人だけど
実は俺の憧れの人…

そんな人と一緒にいられるんだ
張り切らない訳がない

昨夜は緊張でなかなか寝付けなかったけど
ミスなんかして失望されないように
気合い入れてかないと。



会社に着き、昨日移動したばかりのデスクに座る

就業時刻まであと30分、人もまだ疎らだ。

「おはよ、翔ちゃん」

椅子に座る俺の肩をポン、と叩き朝の挨拶をするのは同期入社の雅紀。

「おはよう」

「随分早いね、いつもこんな時間に来てるの?」

「今日は特別…なんか緊張しちゃって」

「あ〜、今日から大野さんと一緒だもんね」

「うん…まぁ…」

「そんな緊張しなくても大丈夫だよ
仕事は凄く出来る人だけどさ、優しい人だから
俺もこの会社入ってからずっと同じ課にいるけど、あの人が怒った姿見たことないし」

緊張の理由はそこじゃない…

あの人が優しい事なんて、雅紀に聞かなくてもわかってる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ