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take a breather

第25章 P・A・R・A・D・O・X

唇に軽く吸いつくように何度もキスをされ
キス未経験者の俺としては、どうしたらいいのかわからない

頬に添えられていた先生の左手が後頭部に回っていて
段々苦しくなるのに、逃れる事も出来ない

「ふぁっ…」

酸素を取り入れる為に開いた唇…

すぐさまぬるりと舌が入り込んでくる

「んんっっ…」

ビックリして、空いていた右手で大野先生のシャツを強く握りしめた

先生の熱い舌が、俺の舌を絡めとる

初めての経験に思考がついていけず、頭がクラクラしてくる

「んっ…ふっ…」

時折聞こえる声は、俺のモノなのだろうか…
やけに甘くて、イヤらしい…

「あ、んっ…」

大野先生の舌と唇が離れていった

途端に体の力が抜け、倒れそうになるのを大野先生が抱き寄せてくれた

「大丈夫?」

頭上から聞こえる優しい声の問いかけに、先生の胸により掛かりながら、小さく頷いた

「キス…初めて?」

その問いかけにも小さく頷く

「そっか…なら少しずつ学習していこうね?」

学習?何を?

大野先生を見上げると、先生は困った顔で俺を見下ろした

「そういう顔されると、一度に全部教えたくなっちゃうんだけど
流石にそれは出来ないから…
ここからはゆっくりいこうね」

大野先生が言ってる意味が、なんとなくだけど理解できた

いずれは大野先生と…

そう考えるだけで、心臓がバクバクとなり顔が熱くなる

「可愛いなぁ…」

呟いた大野先生に強く抱きしめられた

もう、俺…心臓が破裂して死んじゃうかも…

「…好きだよ…翔…」

耳元で聴こえた甘い声に、俺の心臓は限界を超えた

全身から力が抜け、ふにゃんと崩れる

「えっ⁉︎櫻井くんっ?大丈夫⁈」

慌てる先生の声を聞きながら、意識が遠のいだ

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