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take a breather

第29章 TRAP

「この人、自分のテリトリーに来た瞬間のおもてなし力、半端じゃないから」

番組内で語った言葉…

俺が身を持って経験した事

あれはまだ俺が、智くんのことをメンバーのひとりとしてしか見ていなかった頃のこと

俺は、自分が智くんのテリトリー内に入り込んでいることに気付いていなかった


「翔ちゃん。今朝、知り合いの漁師さんから大量の牡蠣が届いたんだけど、食べたくない?」

「えっ⁈牡蠣?食べたい!」

番組収録前の楽屋で智くんに聞かれて即答した

だって、貝類は俺の大好物

『食べたいか』と聞かれれば、もちろん『食べたい』と答える

「じゃあ、この後家においでよ」

「わかった。ありがとう、智くん」

この時俺は、テッキリ智くんの家に寄って、牡蠣を貰って帰るんだと思っていた 


「どうぞ、入って?」

「お邪魔します」

智くんに促されリビングへ…

「すぐに用意するから、そこに座って待ってて?」

「そんなにいらないからね?」

家でひとりで食べるんだから、5、6個貰えれば十分

料理らしい料理なんて出来ない
レモンを絞ってそのまま食べるのみ

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