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take a breather

第29章 TRAP

ソファーに座って智くんを待っていると
背後からまな板で食材を切る音が聴こえてきた

振り返りキッチンの方を見ると
そこにはエプロンをし、包丁を握る智くんがいた

「何してるの⁈」

立ち上がりキッチンへ行く

「すぐに出来るから、ちょっと待ってて」

『ちょっと待ってて』って、この感じからすると…

「もしかして、手料理をご馳走してくれるってことっ⁈」

「そうだけど?
翔ちゃん、牡蠣食べたいって言ったよな?」

キョトンとして俺を見てるけど
驚くのはこっちだろ

智くん、そんなことひとことも言ってないからね?

いきなりメンバーから手料理振る舞われたら、驚きもするでしょうが

唖然とする俺を他所に、黙々と作業を続ける智くん

その手際の良さに思わず見惚れる

突然の事に驚いたけど
これだけ用意されたら、今更帰るとは言えないし?
出来上がって行く料理は美味そうだし?

言葉足らずな所はどうかと思ったけど
この料理たちに免じて
今日の所は何も言わずにご馳走になって帰るか

「さ、出来た。あっちに運ぶから翔ちゃんも行こう?」

「うん、俺も運ぶの手伝うよ」

「あんがと。じゃあそこにあるの運んでくれる?」

「オッケー」

智くんとふたりでの家飲みかぁ…
もしかして、初めてじゃね?

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