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take a breather

第1章 Now or Never

手始めに翔くんを細部にわたって観察した。
翔くんの姿を脳裏に焼き付ける。

そこからは一気に記憶の中の翔くんを紙の上に描いていき、途中途中で答え合わせのように翔くんに視線を送り、修正を入れていく。

気がついたら翔くんは膝の上に置いた腕に頬を乗せ、眠ってしまっていた。

あちゃ〜、やっちゃったよ。
翔くんのこと放ったらかしにしちゃった。

俺、絵を描き始めると集中し過ぎて、周りが見えなくなっちゃうんだよなぁ。
会話とかも一切しないし…

そっと翔くんの傍に寄り、顔を覗き込んだ。
すぅすぅと寝息を立て、気持ち良さそうに眠っている。

睫毛ながっ!
肌キレっ!

唇…紅くて…おいしそう…

ちょっとずつ近付いていく距離…

あと、もう少し…

「ん…」

翔くんの口から短い声が漏れ、触れる寸前で動きを止めた。

長い睫毛を震わせながら、瞼がゆっくりと開いてく。

ぽやんとした翔くんの視線が俺のことを捉えると、一気に見開かれた。

「えっ!?」

ガバッと体を起こした翔くん。
一瞬で顔が真っ赤に染まった。

「あっ!ごっ、ごめん!
起こそうと思ったんだけど、余りにも気持ち良さそうに寝てたから、起こすの申し訳ないな、って」

「そ、そうなんだ。目の前に智くんがいたから吃驚しちゃった。
俺こそごめんね、モデルなのに寝ちゃって」

「ううん。もう終わったから大丈夫、ありがとう」

「終わったの?見せてもらってもいい?」

「うん、いいよ」

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