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take a breather

第29章 TRAP

「翔ちゃんは俺のこと好きじゃないの?」

「へっ?」

そんな事、考えた事なかったよ…

もちろんメンバーとしては好きだよ
いや、メンバーとしてじゃなく、ひとりの人として好きだ

「翔ちゃん?」

「智くんの事は好きだよ?
でも恋愛対象として見た事はない…」

「そう?でも、俺の事を良い旦那になれるって思ったって事はさ
翔ちゃんにとって、生活していくのに良いパートナーだって思ったんじゃないの?」

「うっ……それは…思った…」

智くんに核心をつかれ言葉に詰まる

「ならいいじゃん、パートナーになれば
俺は翔ちゃんの為にしてあげたいし
翔ちゃんはして貰って助かるんだろ?
お互いwin-winだよ」

「そっか…」

そう言われてしまえば、そんな気がして来てしまった

「じゃあ決まりね?」

「えっ?…あっ!やっ、ん…」

「んふっ、可愛いよ?俺のお嫁さん」


智くんはベッドの上でもパートナーとして、文句の付け所がない事を証明してくれた


こうして俺は、智くんの仕掛けた罠に見事に掛かり智くんの嫁になった

手料理という餌に引き寄せられた訳だけど、本当の餌は智くん自身だったじゃないかと今は思う

智くんと過ごすまったりとした時間に引き込まれ、智くん本人に惹かれていたんだと

「翔ちゃん、そろそろ起きて?」

ベッドに眠る俺の耳に優しく響く声

「おはよ…智くん」

「コーヒー入ったよ」

「ん、ありがと」

上体を起こした俺に、やさしい目覚めのキス

ほらね?こんなに甘い餌が目の前にあったら、捕まるしかないでしょ?


〈end〉

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