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take a breather

第6章 season

『桜は今週末には開花し、来週には満開となるでしょう』

朝の情報番組でお天気お姉さんが笑顔でそう教えてくれた。

「桜の季節か…
そりゃそうだよな、春なんだから…」

この春、東京の大学を卒業し
そのまま東京の企業に就職することが決まってる俺

学生の時に住んでいたアパートは学生専用だったから
新たな生活を始める為に、ほんの数日前引っ越しを終わらせた

来週の入社式を迎えるまで僅かな時間、何をしようかと考えていた矢先、高校時代の友人潤から『就職祝いしようぜ』と電話があった

もちろん二つ返事ですぐにオッケー

『あ〜、そう言えば知ってるか?翔』

「ん?なに?」

『校庭のあの桜、今年で最後らしいぞ?』

「え?どういうこと?」

桜が最後って…

潤が教えてくれた『あの桜』とは
俺が高校の時お気に入りだった校庭の端に植えてあった桜の大木

高校が創立された時に植えられたらしく、樹齢約60年と聞いていた

『体育館が古くなったから建て替えするんだけど、あの桜がある場所なんだと
まぁ、理由はそれだけじゃなくて
あの木結構衰弱してたから危なかったらしいんだけど』

ソメイヨシノの寿命が他の桜に比べて短いのは知っていた
でも樹木だから100年くらいは持つものだと思ってたのに…

「…そっか、残念だな…」

『お前、あの桜好きだったもんな』

「うん…」

あの桜は俺の高校時代の想い出全てが詰まってる場所…

アイツとの出会い…
そして別れ…

そういえばファーストキスもあの場所だったな…

みんなと集まる日には、満開とまではいかなくても花を咲かせている頃だろう

少し早めに行って見納めしてこよう…

そして、アイツへの想いも終わりにしてこよう…

あれから4年…もう先に進んでいいよな

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