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take a breather

第6章 season

カラオケに行くといつもと同じように雅紀と潤が次々と曲を入れていく

みんなが歌えるような曲を選択し
みんなで歌って盛り上がった

「智、お前も歌えよ」

潤がリモコンを渡すとすぐに受け取る智

珍しいな…いつもなら嫌がるのに

でも智の歌が聴けるのは嬉しい
どんな曲を歌ってくれるのか楽しみだ

知ってる曲が続いた中
知らない曲のイントロが流れた

モニターを見ると『season』という曲名と
有名な男性アイドルグループの名前が表示された

俺の隣に座っていた智が雅紀に手を差し出す

「マイク貸して」

「おー!おおちゃん登場!」

雅紀からマイクを受け取りスイッチを入れる

智の歌が聴ける最後のチャンス
ちゃんと目と耳に焼き付けておこう

特別な感情があるからじゃない…
智の歌声が好きだから
そう自分に言い聞かせながら智のことを見ていた

〜♪

智が歌い始めると胸が締め付けられた
智の歌声のせいではあるんだけど
この曲の歌詞が智本人のことを…
いや、俺たちのことを歌っているようで
目頭が熱くなった

涙が溢れそうになるのを必死に耐えながら智の方を見ると
少し哀しげな瞳で俺を見つめてた

やっぱり好きだよ…智

でも、この気持ちは伝えない…
旅立つ貴方を笑顔で見送る為に。

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