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take a breather

第6章 season

引越しの準備もほぼ整い
明日は東京へと旅立つ日…

卒業式の日以来、忙しくてみんなに会えなかったけど
カズと雅紀は実家から通える大学に進学するから会おうと思えばいつでも会えるし

潤は俺と同じく東京でのひとり暮らしを始めるから
通う大学は違えどこれからも頻繁に会えそう

特に別れの挨拶も必要ないだろうと
のんびりと実家暮らしの最後の日を過ごしてた

そんな時に電話がなり
画面の表示をみると智の名前が…

智も来週にはアメリカへ行くと聞いている

成田からの飛行機に乗るから『そこまで見送りに行こうか』と、潤から提案された

それに対し俺は正式な返答を返せずにいた

旅立つ智を笑顔で見送りたいとは思う
でも、実際それが可能だろうか…

まだ迷っている俺に、智からの電話は緊張する

それでも出ないという選択肢はなく
通話をタップした

「もしもし…」

少し声が固くなるのは仕方のないことだろう

『もしもし、翔?今何してる?』

いつもと変わらない智の声

「特に何も…引越しの準備が終わってのんびりしてた」

『じゃあちょっと出てこいよ』

「どこへ?」

『学校』

「学校?なんで?」

『桜が咲いてんだよ…
翔と一緒に見たいと思って
満開でさ、すっげぇ綺麗だぞ?』

「え?もう?まだ3月なのに」

『今年は暖かかったから早いんだろ』

「そっか…
わかった、今から行くからちょっと待ってて」

『おう。待ってる』

2年前も同じような会話をしたな…
そんなことを思い出しながら智の元へ向かった。

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