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take a breather

第8章 rolling days

「智、今度会って欲しい人がいるんだけど」

いつもと変わらない朝
少し緊張した様子のかあちゃんからそう言われたのは、中学に入って間もない頃

「なに?かあちゃん、恋人でも出来たのか?」

「えっ⁈なんでっ⁈」

「なんでって…
最近幸せそうだから」

我が家は母一人子一人の母子家庭

とうちゃんは俺が3歳の時に病気で亡くなった

かあちゃんは早くに父親を亡くし
ファザコンの気があったのか
高卒で就職した先にいた親子ほど年の離れた上司
のちに俺のとうちゃんになる人に恋をした

猛烈アタックの末 一年もしないうちに結婚にたどり着いたふたり
よく年には俺が生まれ、とても幸せな新婚生活を送っていた

なのにその幸せは結婚して3年ちょっとしか続かなかった

とうちゃんに末期ガンが見つかり
あっという間に亡くなってしまった

それからは女手一つで俺を育ててくれた

高卒で就職し、結婚で仕事を辞め家庭に入っていたかあちゃん
正社員としての再就職は難しかった
とうちゃんが遺してくれた遺産もあったけど
それだけで一生暮らせるわけもない
俺が幼稚園に入ってからはパートに出て働いていた

かあちゃんはいつも笑顔でいてくれたけど
ひとりで子供を育てるのは大変だったはず

まだ若いんだし、再婚しようと思えばいくらでも出来ると思うんだよな…
なんて、子供心に思ってた

そんなかあちゃんが、この数ヶ月で綺麗になった気がした
かあちゃんには口が裂けても言えないけど

だから誰かいい人が出来たのかな?って
ちょっと期待してたんだ
とうちゃんと早くに死に別れ 苦労してきた分
かあちゃんには幸せになって貰いたいから

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