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take a breather

第9章 Calling

今日はやり残した仕事をする為 休日出勤をした

大した量じゃないから前日に残業しても良かったんだけど
金曜の夜は翔と潤の店に行くことがお決まりになってて
ゆっくりと過ごしたいから早目に仕事を切り上げた

午後はふたりで映画に行く予定
その前に会社に寄って仕事を片付け
折角 ここまで来たからニノの店でランチをしようということになった

「どんな映画が好き?」

『Ninomiya』に向かう道中
観る映画を決めようと翔の好みを聞いてみた

「アクションものとか好きです…
あ、最近ではアニメでも大人が観ても良い映画ありますね」

「へぇ〜アニメかぁ…観たことなかったな
アクション系は俺も好きだけど
香港映画とかよく観てた」

「俺も子供の頃 観てましたよ?
ジャッキー・チェン好きでした」

「おー!俺も観てたぞ
でも俺はブルース・リーが好きだな」

「ブルース・リーじゃリアルタイムでは観てないですよね?」

「うん、レンタルビデオを借りてよく観てたよ」

「そうなんですね
俺、あまり観たことないです」

「んじゃ今度借りて一緒に観る?
カッコいいぞ?」

「はい、是非」

段々と恋人らしくなってきた俺たち
あとはもう少し翔が砕けてくれるといいんだけどなぁ

まだちょっと言葉使いが堅い…

恋人なんだからさ、敬語なんか使わなくてもいいのに…

『み…ぁ…』

「ん?」

何か今…

突然足を止めた俺を翔が不思議そうに見る

「どうかしました?大野さん」

まだ『大野さんか…』
内心残念に思いつつ、今は別の気になる事を口にした

「今、何か聞こえなかった?」

「何か?いえ、特には…」

だよな…今日は休日だし、昼にはまだちょっと時間があるから
ニノの店のあるこの裏路地を歩いている人の姿はない

でも、確かに何か生きもののような声が…

『みゃあ…』

やっぱり何かいる

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