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take a breather

第11章 君のうた

なんとなく気まずさを残したまま
翔と家まで帰って来た…

翔はいつも帰宅するとすぐに部屋に入り 課題をこなす

それに比べ俺は特に何することもなく
リビングにいることが多い…

ただ ここ最近の俺は考え事をしてることが多くて
今日もかあちゃんが帰って来たことに気付かず
突然 目の前に顔を出して来たかあちゃんにエラく驚いた

「うおっ!」

「どうしたの?そんなに驚いて…
また考え事?」

「あ…う、ん…まぁ…」

「…翔のこと そんなにショックだった?」

かあちゃんが優しい笑みを浮かべる

「ショック…なのかな…?
翔のことが嫌いになったとかじゃないんだけど…」

「そりゃそうでしょうね?
昔から『産みの親より育ての親』ってね…
産んだ親よりも 長年育ててきた親の方が愛情は深いんだから」

「うん…
なぁ…翔は いつから知ってたんだ?」

「小学6年の時よ…」

「そんな前?」

かあちゃんは静かに頷いた

「アンタも学校でやったの覚えてない?
小さい頃の写真を何枚か用意して
お家の方に昔の話を聞いてまとめましょう
みたいなのあったでしょ?」

「あぁ、あったな…そんなの…」

「翔の生まれた時からのアルバムも
勿論 家に持ってきてはいたんだけど
両親と写ってる写真を一緒にはしておけないと思って 新たに貼り直したの…
翔の出生祝いで行った時に撮った写真もあったからその写真と
その後2歳近くまでひとりで写ってる翔の写真…
その後、急激に増えた家族写真…
頭の良い子だからね…それで確信したみたい…」

不自然なアルバム…

約2年間、ひとりで写ってる写真しかないんだから

でも 小6の俺だったら気が付かなかったかも…

きっと翔だから気が付いたんだ…

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