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take a breather

第12章 Step and Go

「もしかして迷惑?
本当はあまり家に来てもらいたくない?」

「あ…ううん…逆…
だけど、どのくらいの頻度で来てもらえるのかな、って思ったから…
毎日だと流石に智の負担になるだろ?」

毎日かぁ…往復1時間、出来なくもないけど仕事もあるしなぁ…

でも翔がそう望むなら叶えてやりたい

「俺、何日間かここに泊めてもらってもいい?」

「いいけど…どうして?」

「イチイチ家に帰るの面倒だから
ここに居ても仕事は出来るし
買い出しとかも昼間のうちに出来るだろ?」

「そうだけど…」

喜んでくれると思ったのに浮かない顔

「駄目なら無理しなくていいぞ?」

「ううん…駄目とか無理とかじゃない…
ただ…」

そう言ったまま視線を伏せ黙り込んでしまった

「『ただ』なに?言ってみ?
何かあるなら、そんな不安そうな顔してないでちゃんと言えよ…」

「う、ん…あのね、智がいなくなってひとりになったら寂しくなるな、って思ったから…
だったらそんなしあわせな時間は過ごさない方がいいのかも」

まったくコイツは…なんでも先回りして考える

その割に言ってる内容は 無自覚なんだろうけど可愛いこと言ってるし
今すぐ抱きたくなっちゃったじゃん

テーブルに手をつき身を乗り出した

「智?」

不思議そうに見上げる翔の後頭部を手で押さえ
朝っぱらから濃〜いキスをお見舞いしてやった

「ふはっ…なにっ⁈」

唇を離すと驚きに目を見開く翔

「もういいから仕事行ってこい!
続きは帰ってきてからな?
あぁ、家の鍵は置いていけよ?」

「え?え?」

「俺はお前を裏切らないって言ってるだろ?
無用な心配なんてしなくていいから!」

「あっ…うん!ありがと
仕事行ってくる」

さすが翔…俺の言ってる事を理解したようだ

笑顔が戻った翔を玄関で見送る

「いってらっしゃい」

「いってきます」

軽いキスで翔を送り出し
その足でキッチンへ向かう

「さてと…一度家に帰って泊まりの準備して
それから買い出しだな」

今日は忙しくなりそうだ…

洗い物をしながら夕飯の献立を考え
翔の喜ぶ顔を思い浮かべる

これが日常となる日は
きっとすぐそこ…


《end》

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