テキストサイズ

take a breather

第13章 Monster

「智く〜ん、ごはんの用意出来たよ〜」

1ヶ月ほど前…俺はおかしなモノ(?)を拾った

声を掛けると眠気まなこのソレが寝室から出てきた

「ん…あんがと…」

ダイニングテーブルに用意したグラスに
なみなみと入っている赤い液体

そのグラスの前に座る智くん

俺は向かい側の椅子に座り
ごはんと味噌汁、それに豚肉の生姜焼きを前に手を合わせる

「いただきます」

「いただきます」

俺に次いで智くんが両手を合わせ頭をペコっと下げ
グラスに刺さったストローを咥え美味しそうに『ちゅうちゅう』と啜る

「ぷはっ!うまっ!
いつもありがとね、翔」

「それはいいんだけど…
そんなんで栄養足りてるの?」

「ん、量的には十分だよ
でもさぁ…いつになったら直接吸わせてくれるの?」

「イヤイヤ、だからそれは無理だって…」

智くんの飲んでる赤い液体の正体…

それはトマトジュースに
ほんの数滴だけ混じった俺の血液

そして俺が拾ったモノとは
自称『吸血鬼』の智くん

起きてきたばかりの智くんだけど
今、口にしているのは夕ごはん

昼間は寝てて夜になると起きてくる

「えぇ〜いいじゃん!吸わせてよぉ」

唇を尖らせて そう言うけどさ…

直接吸われたら俺も吸血鬼になっちゃうって事だよね?

吸血鬼になったら今の生活が出来なくなるって事でしょ?

無理だよ…その後の生活がどうなるかわからな過ぎて、不安しかない

でも…

ストーリーメニュー

TOPTOPへ