テキストサイズ

take a breather

第13章 Monster

『はぁ〜、気持ちいいねぇ…
潮風の匂いって好き』

目の前に広がるのは白い波が押し寄せる海…

『うん…おいらも…』

そう返してくれたのは隣に座るサトシ

いつもの夢?

浜辺には人影も建物もなく
ポツンとふたりだけ…

燦々と照りつける太陽の光と頬を撫でる潮風が本当に気持ちいい…

目を閉じて日差しと風を感じていると急に風が途絶えた

その直後に唇に触れる柔らかく温かなモノ…

俺は静かにそれを受け止めて、そのまま後ろにゆっくりと押し倒される

目を開くとサトシが俺に覆いかぶさっていた

『ここでスルの?』

そう聞くとサトシはフニャッと笑って頷いた

『だってショウタが誘ったんだろ?』

ショウタ?

『誘ってないし…』

『あんなに気持ち良さそうな顔して目を閉じてたら
『どうぞ召し上がれ』って言ってるようなもんだぞ』

『ぷっ!何それ?ボク、サトシに食べられちゃうんだ』

『そう!大人しく食われろ』

『うん…食われる…』

再び目を閉じると頬にそっと触れる温かな手…

『好きだよ…』
「翔」

唇に吐息がかかり押し付けられる唇…

ただ触れただけのキスなのに
そこから幸せが体中に広がってく

俺、どんだけサトシに惚れてんだよ

離れてしまった唇の持ち主を探そうと
ゆっくりと瞼を開く

「起きた?」

「……へ?」

目の前でフニャッと笑うのは…

「智くん?」

「気分はどう?気持ち悪くない?」

「あ…大丈夫…」

「そっか…良かった」

智くんがニコッと笑う

さっきのキスは夢?それとも現実?
イヤ、まさか現実なんてこと…

「おいら もう寝るけど翔は?
今日、仕事休みなんだろ?」

「あ、うん、そう…」

だから昨夜ニノと飲みに行ったんだ

「もう少し寝る?結構飲んできてたよな?」

「うん、そうしようかな…」

夢と現実の区別がつかないなんて
酒が抜け切れてない証拠

もう一眠りしよう…

「んじゃ、おやすみ」

「おやす…ん⁈」

チュッとなって離れた唇…

「…え」

隣には布団を被り目を閉じる智くん

どういう事⁈

駄目だ…頭が働かない…

「…寝よう…」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ