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take a breather

第3章 このままもっと

「翔…俺たち、もう終わりにしよう」

「え⁉なんで?俺、何かした?」

今日は仕事終わりに食事に行って、そのままホテルへ…

いつものように彼に抱かれ、帰り支度を済ませたところで突然別れを切り出された。

「翔は悪くないんだ…悪いのは全部俺…」

眉毛を寄せ、苦しそうな表情を見せながら話す彼の、言っていることが理解出来ない。

「意味わかんないんだけど…
なんで俺が悪くないのに別れなきゃいけないの?」

『好きだ』って告白してきたのも、『付き合ってくれ』って迫ってきたのも彼の方で

彼の明るく強引な押しに負け、俺は彼と付き合うことにした。

「お前といるとさ、俺の駄目な点が次々と見えてくるんだよ。
一緒にいると、如何に俺が能無しなのか思い知らされる」

「そんなことないよっ!
俺よりも良いところ沢山あるじゃん!」

「…ごめん、正直…疲れた…
お前に相応しい人間になろうと頑張れば頑張るほど、お前と俺との差を感じて…
翔のことは今でも愛してる…
でも、それだけじゃ一緒にいられないんだ…」

「そんな…」 

そんな理由で別れるってあり?

彼が『完璧な俺』に惚れたって言うから、ずっと頑張ってきたんだよ?

誰にも負けないように仕事して…
見た目だって変わらないように家で地道に筋トレして…

それなのに、なんで…
『完璧な俺』だからフラれるの?

「ごめん…翔…」

謝りながら部屋を出て行こうとするアイツを引き留められなかった…

カッコ悪い俺を見せたくなかったから。

「なんだよそれ…別れるつもりなら抱くんじゃねぇよ…」

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