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take a breather

第15章 二人の記念日

片付けを済ませた後
風呂に入ってビールと軽いツマミで晩酌

ソファーを背もたれにしてふたりで並んで座る

「なぁ…翔…」

「はい?」

「実際のとこどうだ?
ここで暮らし始めてから数ヶ月経つけど
息苦しくないか?」

翔は膝の上に乗せたブルーを撫でながら首を傾げる

「息苦しい?何がです?」

「俺との生活…
24時間一緒にいるだろ?
寝てる時でさえ隣にいて、常に存在を感じなきゃならない
そんな生活、疲れないか?」

「智さんは?息苦しい?
俺とブルーが一緒だと面倒が増えて疲れちゃいますか?」

不安そうな表情…

「いいや、全然」

笑顔で答えてやると表情が緩んだ

「よかった…俺も全然です」

「そっか…ならこのままでいっか」

「はいっ」

翔が嬉しそうに笑った

「あっ!でも…」

「何かありますか?
俺に問題があるなら直しますけど…」

「ある」

「なんですか?なんでも言ってください」

「敬語をやめろ。それと『さん』も外せ」

「あ…それは…」

いつまでも俺に対して気を遣われてる気がして
これまでにも何度も言ってきた
それなのに一向にやめる気配がない敬語

「直すって言ったよな?」

「…言いました」

「じゃあ、よろしく」

「…はい、努力します」

「『します』?」

「あ…うん、努力、する」

辿々しく話すが可愛らしい

「ははっ、いいよ無理しなくて」

「え?」

「俺にしてみれば敬語で話すの疲れるって思うけど
翔にしてみればそれが普通なんだろ?」

「そうですね、目上の人には敬語で話すのが当然かと…」

「翔にとってそれが自然ならそれでいいよ
いつか自然に敬語じゃなくなる日も来るだろ
これから一生一緒に暮らしていくんだから
お互い無理せず、ありのままで過ごそ?」

「あ…はい…」

急に頬を赤く染めた翔…なんでだろ?

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