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take a breather

第16章 WISH

「…昨日ね…」

視線を伏せたままキミが静かに話し出す

「昨日、大野くんと別れてから
急に寂しくなったんだ…
それまで凄くワクワクして楽しかったのに」

「俺も…」

「大野くんも?」

キミが顔を上げて俺を見る

「うん。昨日はすげぇ楽しかったのに
今日は寂しかった…
で、櫻井くんが店にケーキ取りに来た時は嬉しくて
さっき店の前に立ってた時はもっと嬉しくて…」

この気持ちをなんと言えばいいんだろう…

「そっか…一緒だね」

「うん…一緒…」

はにかむキミが可愛くて
ほんの少し距離を縮めてみた

するとキミも少しだけ距離を縮めて来て
ふたりの肩が触れ合う

「いつ、スイーツ連れてってくれる?」

「僕はいつでも大丈夫だよ?」

「じゃあ明日行こうか」

ベンチに置かれたキミの手に
俺の手をそっと乗せた

「…うん」

「初詣も…一緒に行かない?」

「うん…行く」

先の約束があれば
それだけでワクワク出来るから
ひとりになっても寂しくない

この気持ちがなんなのか…
まだ答えは出ないけど

キミとふたりで過ごす時間が増えてけば
きっと答えは見つかるだろう

「あ…今日はまだ大野くんに言ってなかったね」

「ん?なに?」

キミの方を向くとキミは美しく微笑んだ

「メリークリスマス」

その瞬間、祝福の鐘が頭の中で鳴り響く

「メリークリスマス…」

もうクリスマスにプレゼントなんて貰えないと思ってたけど
今年はサンタから最高のプレゼントが贈られた…


『I wish your merry christmas and happy new year』


《end》

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