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take a breather

第3章 このままもっと

「お先~」

智くんが風呂を済ませリビングに戻ってきた。

「相変わらず早いね」

「のぼせるんだから仕方ないだろ?」

「まぁ、お風呂で倒れられても困るしね」

「だろ?自分の事はちゃんと自分でわかってんだから」

そうなんだよな…智くんは俺なんかよりもちゃんと自分をわかってる。

それに比べて俺は…

「智くん…」

智くんは冷蔵庫からビールを取り出すとプルタブを開けた。

「ん?」

ビールを飲みながらこちらに戻ってくる。

「今日も一緒に寝ていい?」

「ん…いいよ」

「ありがと…」

「待ってるから、早く風呂入ってきちゃいな」

「うん…」

智くんに雅紀とのことをちゃんと話さなくちゃな。

智くんの事だからきっと今日も心配してくれてたよね。
気になってるハズなのに何も聞いてこない…智くんの優しさ。

でも安心して?俺、自分でも不思議なくらいなんともないんだ。

雅紀と話をして自分の気持ちがわかったからだろうな…

雅紀に『もっと甘えて欲しかった』って言われたとき、雅紀に甘える必要がなかったから甘えなかったんだよな、って思った。

だって、俺には自分から甘えなくても十分甘やかしてくれる人がいるから。

当たり前に甘えてたから…

だから今までわからなかったんだよ

智くんは俺が泣ける場所なだけじゃなくて、俺が唯一甘えられる人なんだって。

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